ANMELDEN———シャワールーム。
(最ッ高……)
瑠奈はと言えば、皇の部屋備え付けのシャワールームで足をガクガクと震わせながら壁に手をついてなんとか立っていた。
その頬は紅潮していて、息は荒く、興奮を隠せない様子で。
そして、ついに立っていることができなくなった瑠奈はその場に崩れ落ちる。
「は、はあ……はあぁ……」
瑠奈は皇のちんぽに耽溺していた。今の皇にはなんの価値もなかった、そのちんぽ以外には。
瑠奈は皇に出された精子をそのまんこから掬い、それを見て艶のある笑みを浮かべる。
皇にはもちろん、リズム感なんてない。だから、ただ我武者羅に腰を振っているだけ。少し痛いときがあるのがたまに傷ではあったが。
……だが、そんなセックスは溺れるほどに気持ちよくて。思い出すだけで、もう一回まんこに指を挿入してまさぐりたくなる、そんな気持ちよさがあるものだった。
「これが最後だなんて……いや。元大旦那様は私のものよ……」
瑠奈はシャワーに濡れながら怪しく微笑む。そうして、自らの下半身に手を伸ばし、精液のヌルつきをクリトリスに塗り広げながらシャワーの音に塗れて小さな喘ぎ声をあげる。
(大旦那様ッ……大旦那様ッ……)
瑠奈が執着しているのは皇のちんぽに、なだけのはずなのに瑠奈の脳裏には皇の顔が思い浮かんでいた。
そして、瑠奈も認めたくはないが理解していた。
本当は皇自身に惹かれているということ。皇はなんだかんだいつも瑠奈の無茶振りに応えてくれて、瑠奈を見放さないでいてくれて、瑠奈に優しくしてくれて。
それが船寺の家の女性を接待するため。と言っても格上なのは遊城の家、乱暴に扱うこともできただろう。
でも、そんなことはせず瑠奈を船寺 瑠奈としてではなく、ただの瑠奈として接してくれた初めての人間なのだ。
「あっ……ああっ、すめ、らぎッ……」
クリトリスを弄る手が激しくなる。指で強めに摘まんで、指の腹で押しつぶすように擦って。
シャワーの音で消える程度の喘ぎ声、そして。
「っ~~~~~~」
足をM字に開脚し、歯を食いしばり、シャワールームの中で1人空しく果てる。
「でも……もう、貴方はあの約束を……」
浮かぶのは過去の情景。そして、皇の顔。ただの優しいだけの無能でなんの才能もない人間。
(……ちんぽは別だけど)
そして、夢想する。
(もし、私がただの瑠奈であんたがただの皇だったら……いや、そしたら出会わないわね)
そう自嘲する。運命と言うのは残酷だ。瑠奈は船寺の娘と言うプライドがあるから素直になれない。
皇は……どうなのだろう。
(……ま、好かれている訳がないわね)
そう1人瑠奈は失笑する。自慰後のやけに鮮明な頭でふらふらと立ち上がり、シャワーの温度を下げる。
ただ、思う。
(でも、皇……あんたは逃がさないわ)
遊城の家の人間じゃなくなるなら好都合、あとは瑠奈だけの問題だ。
そう瑠奈は妖しく微笑むのだった。
---------------------------------------------------------------
———皇の部屋。
(さて、どうするか……)
皇は天井を見上げながら煙を吐きだす。すると、ガチャリ、とシャワールームの扉が開いた。
瑠奈は体を拭きながら、出てくれば皇を一瞥して言うのだ。
「最後まで一度も私に快楽を与えられなかったこと褒めてあげるわ。ある意味一番記憶に残るセックスだったもの」
くすくす、くすくす、そこにあるのは混じりけのない、格下を見る表情。だが、そこに言い返すことはしない。
皇が俯いて煙草をふかしていれば、瑠奈が彼の隣のスペースになにかを投げつけた。
「デメテール……?」
それは少し前に発売されたゲーム機だった。瑠奈に何度もフェラやパイズリを対価に課金させられたのを皇は覚えていた。
「本当ならこれに課金して欲しかったのだけれど、もう無理そうだから。これから娯楽がなくなる大旦那様にはそれぐらい情けで贈ってあげるわ」
そう言うと、瑠奈は散らばった洋服を回収して。そして、それを元通り身に着けて言うのだ。
「じゃあ、さようなら。大旦那様、いや」
瑠奈の口元がこれでもか、と愉快に歪む。
「元大旦那様ぁ」
瑠奈の高笑いが遠ざかっていく。皇がぼんやりとデメテールを見つめていると、リムレットが着信を告げるヴヴッ、という振動をする。
だが、今の皇に用のある者なんていない筈……一体誰が、これから勘当される能無しに電話してくるのか。
皇はリムレットをつけてる手を軽く振ってウィンドウを立ち上げた。
相手は……大親友であった。皇は通話ボタンを押そうとして躊躇う。
(迷惑……かけることになるよな……)
この大親友、甲斐堂《かいどう》 薊《あざみ》は皇になにかと世話を焼いてくれる人間だ。多分、今回も家を追い出されることが決定した、なんて言ったらすぐさまいうのだろう。
〝だーっ、そうじゃねェだろ!?薊様助けてください、だろォ!?〟
そんな薊の声が脳内にリフレインする。それぐらいには絶対に助けてくれるという確証がある相手だった。
だからこそ躊躇う。
(また、俺は薊に助けてもらうのか……)
家で親のすねを齧る次は薊のすねを齧るのかそう思うと躊躇いが生じて。
でも、そんな躊躇いから一歩踏み出させるのも脳内薊の声で。
〝お前は余計なこと考えすぎなんだよ!もっと気楽に俺を頼れ!〟
ただの皇の妄想だ。でも、そんな妄想でも皇に一歩を踏み出させるには十分だった。
皇はリムレットの通話開始ボタンをタプ、と押すのだった。
あれから。世界は危機があったことも知らずに平和に日常を回し続ける。---------------------------------------------------------------紅華、悠理、瑠奈によって告発された秋峰。そして、余罪ありとして徹底的なガサ入れがオルドデウス社に入った。当然なのだが世界同士の繋がりが切れたのでAWMにログインはできなくなり、デメテールもただの鉄くずとなり果てた。だが、オルドデウス社の扱いは国も困ったものになったらしい。異世界の存在を公表するか否か、世界が1人の人間によって危機的状況にあったことを公開するか否か、そこに関しては今後とも協議していくことになったそうだ。とはいえ。オルドデウス社は遊城家やその他企業と共謀し人体実験を行っていたことは事実。加えて、デメテールの安全性を保障する際審査員に賄賂を渡していたこともあり、買収など様々な公表できる罪は公表されオルドデウス社は実質の解体、加えて遊城家もその地位を落とした。AWMがなくなったことにより、AWMでの収入で生活していた人間たちは実質無職となり、自己破産などをする人間が増えたことによってAWM不況が起こり社会問題にもなった。もちろん、世界を救ったとされる皇にもそれ相応の聴取が入った。だが、紅華の取り計らいで酷いようには扱われず。また、皇が望んだことにより、皇の存在も一部の人間だけが知るのみとなった。 そして、そんな英雄は———。--------------------------------------------------------------- 皇は晴れてただのフリーターとなりきちんとした職を探すこととなった。 愛鹿からは「下僕正式登用してあげようか?」と言われ、姫沙羅からは「嬉嬉軒に婿入りでどうー?」と言われ、瑠奈からは「あらぁ、ヒモなんてどうかしらぁ?」とかとか色んな誘惑をされたが……流石にそれはどうかと思うと、きちんと地道な就活をすることにした。 だが、皇はAWM事件で地位を落とした遊
そして、ヴィクトが泣きに泣いてようやく涙も枯れ果てた頃。ヴィクトが顔をあげれば、ラフィが足元から消えかかる。「……ラフィッ……」「時間だね。元々私がこうしていられるのはオルドデウスの技術のおかげで、だから、もうそろそろ限界みたい」 ラフィは残念そうに微笑んだ。残念そうなのに、悔いはない。そんな笑み。「ありがとう。最後にさ、スメラギに1つお願いしていい?」 そんな申し出。そんなもの1つじゃなくてもいくらでも受ける。「ああ、なんでも……何個でも言ってくれ……」 また涙が出そうになるヴィクトに対して、ラフィは嬉しそうに微笑んだ。「もし……もし、アキミネがちゃんと約束を守ってて、地下牢でお父様が生きてたら。……私が〝ありがとう〟って言ってたことを伝えてほしいの」 本当に、本当になんの強欲さもない願い。人の子であるから、親に感謝したい、そんな願い。ヴィクトはそれすらも自分で叶えられないラフィの状況に胸を搔き乱される。だが。「ああ、ちゃんと伝える」 ヴィクトはラフィをまっすぐ見て言う。ラフィの願いだ、絶対に叶えて見せる。「あと……これはスメラギに伝えたかったこと。これは此処だけの話、誰にも言っちゃダメよ?」 凄い念を押してくる。「お、おう……?」 そんなヴィクトの反応にラフィは太陽のような眩い笑顔をヴィクトに向けて言うのだ。「愛してるわ!スメラギ。この世界の誰よりもっ!」 そうして、ラフィは光の粒子となって崩れていく。残されたのはラフィの体とヴィクトのみ。 ヴィクトは願う、いや、祈る。(もう誰も、ラフィの眠りを妨げることがありませんように)-------------------------------------------------
「そうだ……オルドスフィアで、ラフィの寿命を……だって、これは神の力なんだろ!?」 ヴィクトは縋るようにオルドスフィアを握りしめる。世界を書き換えるほどの力ならラフィ1人の寿命を延ばすぐらい造作もない筈。造作もなくあってほしい。 だって、1人の少女を救えなくて、なにが神の力だ。 だが、そう取り乱すヴィクトに対してラフィは首を振った。「それはやっちゃダメ。生命の因果を捻じ曲げればどこかに絶対に綻びが生まれる。その綻びが……また、新たな不幸を産み出すから」 ラフィの目は覚悟をしていた。自分が犠牲になる覚悟。 そんなものヴィクトは認めたくない。だけど、ラフィの意思を捻じ曲げてまで側に置いて、ラフィはきっと喜んでくれない。 でも。「でも、そんな……そんな、ラフィの人生は……」 そう嘆くヴィクトに対して、ラフィは穏やかな笑みを浮かべる。全てを受け入れている穏やかな笑み。「……スメラギ、私ね、すこぉしだけ。ほんっとに少しだけ……アキミネに感謝してるの」「え……?」 あのクソ野郎に感謝するところなんてあったか?そんな思いがヴィクトの中を駆け巡る。でも、ラフィが「分からないでしょ?」と悪戯っ子のように笑う姿に嘘はなくて。ヴィクトは目を見開いた。「本来眠っているだけだった私に、この世界の案内人っていう役割と与えてくれたの。アキミネは」 ラフィの穏やかな声が告白する。それはそうだ。「まあ、スメラギたちの世界と異世界との繋がりを作るのに私の力が必要なだけだったんだけど……でも、色んな人を見てきた。なかには私と草原で話すためだけに何個もデメテールを買う人も居た。侵略されたことに感謝なんかしないけど……でも、侵略されなかったらできなかった出会いをした」 穏やかで、静かな声。それは終わる筈だったラフィの人生が少しだけ続いた証。「少しだけ私の人生を歩めた。そして……」 ラフィがヴィクトを見る。ヴィクトを見て心底嬉しそうに笑う。「スメラギともまた会えた。そして、今こうして話せてる。これは間違い
そして、ヴィクトとラフィは様々な世界を修復しながら会話をする。「そもそもね、お父様……ううん、私たちが無防備過ぎたの」「ラフィ、たち、が?」 やることはオルドスフィアを振るだけと言えど、世界を……いや、宇宙を1個ずつ書き換えていく作業。その作業は偉く時間がかかって。 でも、その分、ラフィと会話ができる。皮肉なことに。「うん。最初ね、アキミネって凄い友好的だったんだ。スメラギたちの世界は食糧難とかないんでしょ?」「いや、ない訳じゃないが……うん、少なくとも俺が居た国で食料に飢えてる人は少なかったかな」「うん、アキミネも言ってた。しかも、食料を加工するのが得意な国で、芋や乾燥肉じゃなくても長期保存を利かせる技術もあるって……私たちからすると夢みたいな話だったんだ」 眼下のマザーグースが書き換わっていく。双鹿の作ったお菓子の国ではない姿に、少しずつ少しずつ。「でね、アキミネが友好の証にそれらの食料を国民が冬を越せるだけの分をお送りしましょうって言ってきて……人のいいお父様は素直に信じてしまった」 ラフィが悲しい目をする。「神官たちがアキミネをアンカーにスメラギたちの世界と聖ユリア王国を繋ぐゲートを作った、そこから食料が送られてくるはずだった……だけど」 ラフィが俯いた。「送られてきたのは大量の人間だった。鉄の弾を飛ばす武器、私たちの魔法じゃなす術もなく制圧された、だけど」 ラフィがヴィクトを見る。「あの時、私たちに接触していたのはアキミネだけじゃない。スメラギも。……いや、スメラギは実際にこの国に来てくれていた。だから、私たちは……スメラギに全てを……」 ラフィが俯く。その声は涙に濡れていて。「託した……ううん、押し付けた」 その声は重く落ちる。「スメラギの持っている才能を全て封じて、もう一回聖ユリア王国に戻ってきたときにその力が何倍、何十倍にも膨らむようにして……聖ユリア王国を助けてもらえるようにした」 ラフィは自分を責めるように、声を落とす。
「さて、此処からは世界を解放していくことになるんだが……」 ヴィクトはクロムとアザカに向きなおる。オルドスフィアは持っているだけで、その時必要な知識を与えてくれる。そして、世界を解放するための知識として与えられたのは。「あァ?なんだァ?歯切れ悪いな、てめぇ」「……もしかして、オルドスフィアを持っていないと世界の改変に巻き込まれる、とかか?」 そんなクロムの問いかけにおずおずと頷く。 世界の改変に巻き込まれてほしくはないが、「終わったから帰っていいぞー」はなんかとても薄情なことをしている気がして。そんなヴィクトの気まずい気持ちを感じ取ったのか、アザカもクロムもカラッとした笑みを浮かべた。「じゃ、先戻ってるからよ。ちゃんとてめぇも帰って来いよ?あ、なんかあったらメールしろ。そしたら光の速さで駆けつけてやっからよォ!」「アザカの言うとおりだ。……ヴィクト、姫様を頼んだ」「ああ」 クロムの言葉にヴィクトが頷けば、2人もログアウトしていって。「さて」 ヴィクトはまず、この世界を改変してもいい状態———つまり、現在AWMにログインしているヴィクト以外のプレイヤー及び運営側の人間を全員強制ログアウトさせて、デメテールの機能を停止させる。 そして、次に。オルドデウスサーバーと遊城の実験場に囚われている全ての魂を解放する。 静かな庭園に薔薇の花弁が舞う。そんな幻想的な光景の中、水色の指の先ほどの光の球がヴィクトの周りを飛んだ。「ん……?なんだ、これ……?」 ヴィクトはオルドスフィアでその光の球体に触れれば———。「スメラギ!」「ラフィッ!」 そこには眩しい笑顔で笑うラフィが現れた。「……その姿……」
そうして、時間が動き出す。ヴィクトは足を止め、秋峰に対して真っ直ぐ次元渡りの剣を向けた。 そして、それを横に薙ぐ。「気でも狂ったかッ!?」 そんな秋峰の声なんて気にしない。アザカとクロムの視線も気にしない。 そして、それは起こった。 横一文字に薙ぎ終えた瞬間だった、秋峰の懐、スーツがスーッ、と。まるでバターをバターナイフで切ったかのようにすっぱりと切れた。 すると、そこから勢いよく飛び出してくる水色の宝玉のついた鍵。(あれはッ……!) ヴィクトは直感した。あれは聖ユリア王国の神器の欠片だ、と。 そう判断した瞬間に、ヴィクトは地面を蹴った。そして、同時に。「なっ……渡すものかァッ!」 秋峰もまた走った。両者が手を伸ばしての神器の欠片の奪い合い。「返せッ!俺のものだ!」「お前のものなんかじゃないッ!」 秋峰の手が神器の欠片を上空に弾く。それと同時に、ヴィクトも秋峰も地面を蹴った。だが、秋峰の方が身長が高く、手が長い。(クッソ……!) 届かない、折角、ラフィが作ってくれた———そこまで考えて思い出す。〝スメラギが信じてくれれば奇跡は起こせる。信仰が力になるの〟 ヴィクトが信じれば、奇跡は起きる。それなら。ヴィクトは飛びながら念じた。(来いッ、神器の欠片!) すると、聖ユリア王国の神器の欠片はするりと秋峰の手を伝うように落ち、ヴィクトの手の中に納まる。そして、その瞬間だった。 眩い水色の光が神器の欠片から放たれる。秋峰は地面に落ち、ヴィクトは宙に浮いたまま。ヴィクトを中心にしたその光はクロムやアザカの足まで止めてしまうほど強烈な光だった。 その強烈な目を焼くような光の中、ヴィクトは見る。ヴィクトが保持していた6つの神器の欠片と聖ユリア王国の神器の欠片が次元渡りの剣と溶け合っていく。そして、ヴィクトが正面